リオ・デ・ジャネイロの海岸線が背後に見え、カーニバル時期の音楽が鳴り渡る。単純なセリフに演技も未熟ながら、何かしっかり魅せられるものがあって、最後まで見た。感動した。
何が素晴らしいのだろう。音楽は本当に素晴らしい。永遠に鳴り響く打楽器のリズムは疲れを知らない。ミニマル・ミュージックのように同じに聞こえてところどころ変化がある。打ち合わせたようにテンポも変化する。歌もどういう決まりがあるのか、リズムに合わせて急に出てくるがきまぐれではなく、絶妙のタイミングで歌いだす。歌もいわゆるユニゾンの合唱だが、心と歌のバランスというか、ゆとりというか、なんて成熟されたものだろう。
ダンスも天才的だ。足さばきはサッカー選手のリフティングを見ているようだ。よく思われているようなハチャメチャな、ただ熱狂的という踊りではない。音楽もそうだが、どこかにシステムと規律があって、何といっても踊りには心がある。それは映画のための演技には見えない。
彼らの持つ才能を存分に見せられる。たぶんその強烈な才能に感動させられるのだろう。
話の内容そのものはナイーヴで、例の「オルフェオ」の内容に照らし合わせてなるほどな、と感じるくらいで、ブラジルそのものとはあまり関係がないのかもしれない。それにしても50年前のリオの様子、人々の表情が映し出されているいい映画だった。
次の日インターネットで検索してみたところ、当時いろいろ賞を取った有名な映画らしい。オルフェ役の「俳優」はフルミネンセのサッカー選手だったといういわくつきだ。
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