2010年6月25日金曜日

ニンジャ作戦とオーストリアの文化の壁

日本の先日の試合は絵に描いたような見事な戦術勝ちで、思いもよらず立派に決勝トーナメントに進んだ。現状のままでは全く通用しない、という危機感からスタイルや起用する選手を変え、それが対戦相手をも惑わせ、功を得たようだ。今回は全部かなりの差で負けると思っていただけに、物事は実際にその時になってみないと何が起こるかわからない。

ただ後半、相手がセンターバックを1人減らしていた状況で、何度も絶対的なチャンスを作りながら点を終了間際まで取れなかったのはさびしいことだ。ぺナルティーエリア内で目の前が空いている状況で横パスがあったり、ゴールのシーンでもキーパーと至近距離での横パスとか、普通はあまり見られないかなり変なシーンもあった。

日本の新聞は相変わらず選手や監督、または元選手やいろいろな人たちのコメントを紹介することに終始しているが、イタリアのガゼッタはいつも記者の署名入りの文で、主観的な意見があって読んでいておもしろい。
でもきょうはオーストリア国営放送協会(ORF)発のひどい記事を見た。

オーストリアの新聞によく見る文化的壁を感じさせる文章で、その壁というのは限りなく厚く、高く、しかもはるか彼方に離れたところにある。一般的にオーストリアでは日本について、政治であれ、スポーツであれ、音楽であれ、いつもだいたい同じ文章で表現される。日本人というのは感情表現をせず、万もの群衆がナイーブな同意見を持ち、彼らが発する言葉は4,5単語程度でインテリジェンスは猿なみか、または話せる犬のようにに描かれる。読者にとっては記事の真偽などどうでもよく、たいていは外の文化の異質性を強調させた、ようするに大衆週刊誌のレベルの記事である。

まずオカダ監督の戦術は「ニンジャ作戦」と日本で名付けられているという。どういうものかといえば、「相手をいらいらさせ、すかさず一点を取り、相手の作戦をこわす、すなわち忍者戦法」とあり、あげくの果てには岡田氏の選手時代も同じようにプレーしていたという。オカダ監督は以前全く目立たない普通の一選手ではなかったか。
すしと同じで日本からすぐ連想させるもので、たやすい手段で一般読者に喜ばれようとしている。記事は読売新聞からの引用だというが、ヨーロッパ人ならともかく、日本人の記者がこういうでたらめを書くだろうか。次回の記事には、すし戦法がでてくるのか。

そのほか、真夜中にかかわらず41パーセントの視聴率があったとし、選手の生まれ故郷はにぎわったことも書いてあり、本田は「大阪の宝だ!」と叫ばれたという。本田選手の出身はどちらかというと名古屋か、石川県ではないだろうか。日本中がパニック的な歓喜に包まれているという描写で締められている。

これが天下の国営放送社の記事である。オーストリア随一のクウォリティー新聞とよばれる「プレッセ」にも、アンゲリカ・ケーラーという名の、アジア諸国のニュース記事担当で同じようにひどい書きかたをするのがいた。そのような文章を読んで何が面白いのか理解できない。

ただ、たまたまドイツTVで見た長谷部選手のインタビューでは、まず質問の意味を把握しておらず、しゃべってもそれこそ4,5単語しか出てこなかった。あれではどう思われても仕方がない。言葉ができないのは普通などと思っているのか、話せないのならインタビューなど受けるべきでない。

2010年6月9日水曜日

細気管支炎

夏の終わりに息子は保育園に預けられることになる。身がよじれる気分だが、ヨメもやはり仕事に復帰しないわけはいけないのでどうしようもない。当初の予定だった自宅近くの保育所より、ヨメの仕事先の近くのほうに決めることにした。施設は室内が明るく、清潔そうで、壁にはきれいな絵が描かれている。何よりスタッフの人材が良さそうな気がする。本当にこれでいいのだろうか。心は決して明るくない。

TGA患者の幼児にとって、命取りになりかねない感染性の病気は「細気管支炎」という。予防できるものなら、なんでもするつもりである。サンタクルス病院では退院後すぐ、予防接種を2度にわたって受けた。生後6か月までが最も危険というから、これから夏の季節でもあるしひとまず安心だが、ちょうど保育園に通い始める9月から生後1年になる1月までは危険な時期だ。

2010年6月6日日曜日

ワールドカップ

インターネット上でしか読めないが、新聞は選手のコメントをそのまま載せて記事にするというのが伝統らしい。どの新聞社も大体同じで、記事は選手や監督の発言に対する感想文のようだ。専門のスポーツ記者の積極的な意見や試合前分析などは個人ブログにしかないのかもしれない。批判的な意見は多くあるが、先発メンバーをどうするべきか、というまじめな議論もあったら読んで楽しいのだが。
公共の場ではいろいろスポンサーなり、宗教団体なりの政治的な背景もあるかもしれない。オカダ監督のベスト4発言もスポンサーのにおいがする。
現場の選手や監督にも見えない、観客の立場で初めて見える問題点はあると思う。相撲の分野だったらかなり上級の分析記事を見つけられるのだが。

せっかくの機会なので、いい思い出作りに「もしかして自分が監督」のつもりで、選手起用をここに書きたい。キーパー川島。テストの試合で2回も成功した人には、これから続けて試合に出る権利あり。前回の川口のような、恥ずかしいゴールはもらわない気がする。センターは中澤と阿部。中澤はもう5,6年前からピークを越している選手だが、代わりがいないので出ないわけにはいかない。阿部は同じくスピードも判断力も世界的レベルから遠いが、ここにも他に選択肢がない。トゥーリオは守備陣には欠かせないが、センターバックの2,3歩前の中央でプレーし、もっと攻撃にも自由にできる方がいいかもしれない。トゥーリオも数年前のほうが良かった。左右のサイドバックは長友と稲本。稲本は対人プレーの強さもあるが、この位置でもゲームメークをできる強みがある。長友は攻撃面でプラスだが、プレーが前かがみすぎてサイドバックとしてほんとうは危ないと思う。むかしの中田浩二のような、もっと地味な、枠役の選手がこの位置にいればいいのだが。中央は遠藤と長谷部。この2人はどう見てもチームの柱で誰が見てもまずはずせない。1,5列目に本田、2トップに森本と松井。松井は当然サイドアタッカーとして左右でかき回す。3人ボールキープできるタイプで何とか攻撃の形作れるでしょう。運が良ければ、どの相手でもこの3人で90分で2点は入るかもしれない。

長友とトゥーリオは状況に応じで違った位置取りができると思う。常にジョッギングに終始する中村とアタッカーの岡崎は負けているときに登場すればいい。中村ケンゴは万が一勝っているときに出ると面白いかもしれない。あとの交代は時間稼ぎ。
とにかく運動会のような合言葉の走るサッカーはともかく、常にダッシュできる状態のサッカーをしてほしい。

今回のワールドカップは間違いなく3戦3敗だろうが、大切なのは点をどれだけ取れるか。オランダから3点でも取れば、世界を驚かせるという第一目標を達成できると思う。