2013年5月19日日曜日

Quarta Feira, a taberna, エヴォラ

そろそろ三歳4ヶ月になる息子は、ここ最近になって目に見える変化が出てきた。
オムツは、保育園のしっかりした管理のおかげか、ほぼ必要なくなってきた。
車の中では、2時間乗っても酔ったりして吐かなくなった。
一泊の小さい旅行先でも、すぐ熱を出さなくなった。
そして、親以外の大人と、親の手助けなしでコミュニケーションを取れるようになってきた。自分から質問したり、会話を始めたりする。
レストランでは自分から飲み物の注文をして、親をびっくりさせる。
そういうわけで、先日、嫁の連日の休暇を利用してエヴォラ市まで、自分の仕事を兼ねて家族揃って行ってきた。
夜に行って来たレストランは、トリップアドヴァイザーでエヴォラ市内堂々一位に輝いている、taberna quarta feiraである。家族経営の小さいレストランで、50過ぎのおっちゃんが舵取りをしている。ここでは美味しいものしか出さない、という自信と気迫を感じさせる、エネルギーにあふれるオーナーである。
おっちゃんは見るからに、小さい子連れの、こちらの様子が心配だったようだ。騒がしくして他の、みるからに旅行者のお客さんの気に障ることがないよう、親もヒヤヒヤであった。早速おっちゃんは息子に話しかける。
「なまえは?」
息子が瞬時に正しく、はっきり返答したので正直びっくりした。それも、普段自分をさして使っている「あだ名」ではなく、本名を。いつから自分で言えるようになったのか?
あらかじめ、息子にジュースをおっちゃんに頼んでごらん、と言っていたのでおっちゃんが近づいたら自分で注文していた。はすかしがらず、はっきりしゃべれて親として満足である。自分がこれくらいの年齢の時、こういう大人との会話はできなかったのではないか?
このレストランには、メニューがなく、料理は頼まずにして出てくる。自分にとっては、いわゆるtable d'hote の初体験である。
まず、パンにつけて食べる、オーブンで温めたチーズ、わずかに炒めた、大きめのワイン風味のシャンピニオン、が前菜に出てきた。食べ終わると、見事な黒豚の煮付けがでてきて、その美味しさに幸せな気分にさせられた。特に、自分から注文したものでなく、どういうものを食べるのかあらかじめ想像せずに、突然美味しそうな料理を出されると嬉しさは倍増である。
いずれも、この地方のごく普通の郷土料理をいい素材を使って、丁寧に調理している感じである。飲むワインは、最初に出された赤ワインを断って白にしてもらったのだが、それも自分は普段にはまず飲まない類の、上品なものであった。
息子はそのメインディッシュも、付け合わせで出てきたアスパラガスとキノコ類のミガス、この年代の子たちの好物の揚げポテトもしっかり食べた。もともと食べる方は親を悩ませたことがないくらい、しっかり食べる子だが、美味しいものは必ず見分けて食べる子でもある。デザートとして出てきた、たくさんの新鮮なイチゴには、いつまで食べるのかと思わせるくらい何度も手を伸ばした。ケーキも出てきたが、果物そのままの方が好きなようである。
とてもいい夕食であった。レストランでの家族連れの食事は、気を使うもので息子の状態によって悲惨な結果、座っていられなくなったり、全く料理に手をつけなかったり騒ぎ出したり、となることがある。でもここ、quarta feira(水曜日の意味)では、息子は全く退屈せず、親は落ち着いていられた。
見事な食事もさながら、レストラン内の雰囲気、オーナー氏のホスピタリティー、といいまた機会がある時に来たい、と思わせるところであるのは確実だ。
息子は終始機嫌が良く、別れにはオーナーのおっちゃんと大きな笑顔でハイタッチしていた。

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