2010年12月22日水曜日

中耳炎と扁桃線炎

週末のブラガでのコンサートは、クリスマス前最後の土曜日とあって、16時開催のコンサートホール、700人収容のブラガサーカス劇場の観客数は100人弱という寂しいものだった。それでもプロの音楽家は100人の前であろうが、10000人であろうが最高の力を出そうと努力する。ポルトガル交響楽団のメンバーは難しいプログラムを短期間でまともに仕上げ、本番でも寂しいがらりとした空間の中、熱い演奏をしてくれた。

同伴した息子の調子がどうもいまいちだ。2週間前に診断された中耳炎の状態がなかなか良くならない。夜には必ずと言っていいほど咳で目を覚ませ、苦しそうな様子を見せる。咳はたんがかなり絡んでおり、くしゃみのたびに黄色の濃い鼻水を出す。

ブラガでは着いたとたん38度の熱を出し、親を慌てさせた。週末の病院通いは、2、3時間もの待ち時間に親子共々ぐったりさせられる。今週末の診察の結果もまた中耳炎と扁桃腺が腫れている状態ということなので、今回ばかりはその足でサンタマリア病院の耳鼻科の専門の先生のところまで診てもらいにいった。また2時間待たされたが、リスボン大学の教授先生は中耳炎はもう治っているという診断をされる。ただ、のどの方が大変な状態なので、どうにかしないといけない、ということで新たに抗生物質を出してもらった。TGAの患者である息子には、こういうウイルスが体にある状態のときは特に気をつけた方がいい、抗生物質を恐れていてはいけない、と言う話をされた。いずれも、一般病院ではされなかった診断である。

息子は別のウイルスも頂戴しているようで、体中に赤の斑点が出ている。今週クリスマス明けまで仕事がないので、幼稚園には行かずに済んだが、生後11ヶ月の病人は床に寝たままという訳にいかず日々のスケジュールを自分なりに淡々と普通にこなす。父親は常にピエロの役回りで赤ちゃんの機嫌の様子をうかがう。食は細めで、今まで順調すぎた成長過程が気になる。それでも離乳食の後期に入るべく、しっかりゆでた人参やジャガイモもつぶしたものでなく、固形物にちかいものを与えたら大分口をもぐもぐして食べれるようになった。
ただ手をあげて観察しているものを指差すようになったり、まだ歩きはしないがつかまり立ちも平気でするといった行動面は順調なのかもしれない。1月の誕生日までには今の病状はすっかりよくなっているのであろうか。

2010年12月15日水曜日

ペイント ミー 2

新作オペラの稽古は総練習の週に入ったが、自分は今週末初めて劇場のオーケストラのコンサートの指揮を頼まれたので、一足早く「ペイント ミー」のスタッフに別れを告げることになった。アシスタントコンダクターとしての仕事は主役不在の間の穴埋めという、ありがたみのない役回りだが、それでもところどころ発言できるところでは遠慮なくさせてもらった。そういったことで、時間とともにこの純ポルトガル人のスタッフの間にあった大きな溝が少しずつ縮まった感はあった。
ただ、これからまたこういう仕事を受け入れるべきかどうかわからない。正直に言って長く息苦しい期間で、終わってほっとした。

劇場のオーケストラといっても、弦楽のみで会場もブラガという、リスボンから400キロ離れた都市で行われるコンサートである。それでもこの指揮の機会はこれからの仕事に影響するはずなので成功を祈るばかりだ。ただ「ペイント ミー」のおかげで、勉強する時間はすごく限られた。自分にとっては、今までやってきた通りに普通に仕事をすればいい、と思っている。

曲目の一つはチャイコフスキーの「弦楽セレナーデ」で、今は亡き故アツェル氏とともにウィーンの講習会で何年にわたり100何回もやった曲である。個人的にはアツェル先生に捧げたいと思うが、指揮している間はそういう気持ちは吹っ飛んでしまいそうだ。

http://www.theatrocirco.com/agenda/evento.php?id=625