ウィーンでは「点心」が当然一昔前のことだが、かなりはやっていて何度かおいしくいただいた。冷凍物でない、本物を出す店が何軒かあって、そういうところにわざわざ通った。点心の技術は難しいらしく、中国から専門の人を呼ぶらしい。腕のいい人はライバル店に引き抜かれ、新たな人材が次々やってくる。はやった店は第2店を別なところに出す。そういう豆知識はウィーンに何年もいる「人生の先輩」からありがたく頂戴した。
冷凍の点心料理はリスボン市内の中華ショップで安くで手に入る。種類はいろいろあるが、ベトナム産の30個ほど入っていて5ユーロというのを買ってみた。ややエビか何かのにおいが変で、本当はもっとおいしいはずだ、と思いながら食べるもの。
中華ショップといえばリスボンにいろいろなところにありそうだが、いつも行くところはマルティン・モニシュ区というリスボンのほぼ中心にある、中規模のスーパーのようなところだ。
近くにはアフリカ諸国・インド・中国籍の店が無序列に立ち並んでおり、通りには座ったり、立ち話したり、もしく別に何もしていないという人がたくさんいて、不思議な香辛料のにおいとともに区画全体に異様な雰囲気を醸し出している。自分のような異国人の男に怖いものはネオナチや極右警察官くらいだが、本国人がそこを普通に歩いて通過するにもなかなかの勇気がいる。近くの地下のパーキングエリアは取ってつけたようにすごく暗い。サングラスをかけたままで駐車場に入るとほとんど何も見えない。
アジア食品専門のお店の入り口には求人広告やら、の張り紙が漢字で書かれている。店内にはお米10キロとか、醤油20リットルとかのように大きい単位でたくさん売っているので中華料理店の人が買いに来る、本格的なところなのかもしれない。1ユーロで出来立てのおいしい肉まんをよく出しているので、帰り際に食べるときがある。誰がどのように作っているのか想像できないが、別に知らないくていいのかもしれない。そのほか、まず買うことのない豚や鳥の足の燻製のようなものも売っている。一度北京ダックがあったので試したことがある。だいぶん乾燥していて、味はかなり人工的でいまいちだった。
あと普通のスーパーではお目にかからない野菜が多くある。もやしは大きく、新鮮で一袋80セントで買える。大根は大きすぎるくらい立派だ。巨大ななつかしい20世紀ナシも売っていたことがある。豆腐はいろいろ種類があって、木綿豆腐だったかヨーロッパでは手に入りにくいやわらかいものも売っている。揚げ豆腐も売っていて、どのように使うのかさいころ型のものが多かった。いなりずしを作れるような大きなものがあったら買っていたが、なかった。
あとどういう名なのか、薄い紫色で、細長い茄子がある。それが20本くらい入っているのが2ユーロで買える。買うときは1週間はなす料理になる。巨大な緑色の瓜のようなものもあって、輪切りにして売っていた。どういう人が買うのだろうか。チャイナレストランではお目にかからない野菜だ。
「にがうり」もあった。もしかして、沖縄のゴーヤと呼ばれているのかもしれない。早速買って、インターネットでレシピを見ながら調理して食べてみたが、それは苦くて2,3口食べただけでやめてしまった。そういえば、苦いという味覚は存在するのにおいしいと感じたことはない。中国の人たちはどのようにして食べるのだろうか。
めん類もたくさん種類があり、どうやって調理するのかわからないもののほうが多いくらいだ。結局いつも買うのは「日本式北海道うどん」という、4袋入りで1,2ユーロのものだ。「Nittin」という中国のメーカーで、日清のパクリか。Made in Japanとまで書いてある。この賞味期限が2010年の終わりとあって、生めんが常温でこれだけ持つのはかなり不思議だが、それでもうどん食べたさに買ってしまう。
開封すると食べ物のにおいがしない。プラスティックのようなにおいがする。作り方はそのままスープに入れるとあるが、少し怖いので一度沸騰したお湯に通す。どういう小麦粉を使っているのかと疑うくらいうどんの味がしない。ただ、歯ごたえはまさしくうどんそのものである。
中国の人たちが健康上の理由から買わない中国産品があると聞いたことがあるが、こう品が並んでいるのどの製品が信用あるのか本当にわからない。疑いがあるのなら買わなければいいのだが、今まで食べて気分が悪くなったことはないので続けて買ってしまう。
レジのおばちゃんにはいつまでたっても顔を覚えてもらえない。支払いの際はお互い無言だが、こちらからもポルトガル語をつい口にしないようにしている。心のどこかでまた中国人と間違えてもらいたいと思っているのかもしれない。
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