2014年7月1日火曜日

リスボンの無法地帯

リスボン市内、特に劇場のあるバイシャとよばれている地区は、アップダウンが激しく、狭く、一方通行が多くさらにはデコボコの石畳の道、とあって車で通るには勇気がいる。
ここ数年は川沿いの区間がずっと工事で、あまりにも混雑していて、平日、休日に関係なく常時渋滞が当たり前の地区だ。
そこの地区に駐車するとなれば、更に勇気がいる。
まずなかなか駐車スペースが見つからないのは当然として、見つかっても1時間2ユーロは軽くかかる、高い駐車料金だ。
平日は朝8時から夜の2,3時まで有料とある。
この都市は、駐車の際、一番近くの販売機まで走って時間限定が印刷されたチケットを入手し、フロントガラス越しに見えるように車の中に置く、というシステムをつかう。
しかしここは、ドイツやオーストリアと違って、市のあちこちに無法地帯、要するに有料駐車地区でもタダで駐車できるところがあるのだ。
チケット点検に来る人間が足を踏み入れない地域のことだ。
道でクルマを駐車スペースに誘導している人たち、見たからにして路上生活者か、それに近い生活をしていると思われる人たちは、一見金をたかってくるだけの印象があるが、
実は彼らはこういう無法地帯に精通している、貴重な存在なのだ。
彼らは、まさしく路上のことは王様のようになんでも知っている。
彼らに今チケットを置くべきなのかどうかを聞くと、必ず答えを持っていて丁寧に教えてくれる。この人達とは、実は顔見知りになっておいたほうがいいのだ。
情報代として、1ユーロをこっそり渡すのは言うまでもない。必ずといっていいほど、礼の言葉が返ってくる。
ただし、こういう人たちに対して横柄な態度を取ったり、小銭を渡さなかったりすると、逆にスリ団に車の中の様子をパクられる危険性が出てくる。
警察はこういう仕組みをよくわかっているはずだが、彼らが捕まえられたりはまずしない。
リスボンは、まだこういう文化がある都市である。
この先、必ずなくなっていくであろう、文化である。残念といえば、残念だ。

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