2014年3月24日月曜日
ヴィラ・ロボスのバッキアーナ
先日、カステロ・ブランコという町の大学に招かれて、ヴィラ・ロボスのバッキアーナ第5番、日本ではブラジル風バッハとよばれる曲を指揮する機会があった。
エイトール・ヴィラロボスは、好きな作曲家の一人である。
しかしながら、彼の曲はなかなか一般的な演奏会のプログラムに取り入れられることはまだなく、自分もこれまで作品に触れる機会は多くなかった。
それでも今まで出会った作品はどれも、名人によって書かれた、傑作ばかりだ。
人生はまだ長いし、いつか1000曲はあるというが、全ての作品に触れてみたい、と思わせられる音楽である。
音楽学的な見方はどのようなのかわからないが、このブラジル人作曲家の技法は、ヨーロッパではなかなか取り入れられなかった、ジャズ、またはボッサノヴァの和声学的な要素を絡ませて独特である。
おそらく、あの複雑なボッサノヴァの和声の動きを自由に譜面に書けたのだろう。
こちら、ポルトガルではヴィラロボスの音楽は、間違いなく愛されている。
どこか、独特な悲しい旋律が空間に漂う感じなどは、ポルトガルのファドの音楽にも似ている気がする。
大学の学生たち、8人のチェリストたちは全員、曲に愛情を持って入り込んでいるのがよくわかった。
2時間ほどのリハーサルに、すぐ本番というものだったが、皆で曲をだんだん把握していく、というプロセスをとてもスムーズにできて、なんだか優等生グループを前に教える先生のような気分になった。
チェロの重厚であって、かつ透明な合奏の上にヴォカリッゾで歌われる、ソプラノのパートは、元ウィーン歌劇場の合唱団員で、現在は当地、カステロ・ブランコに住むマヌエラ・コスタにお願いした。
この歌手は、1999年にオーストリア・アイゼンシュタットのエスターハージ城で一緒にオペラの仕事をした、元仲間である。
短い時間ではあったが、本当に有意義な時間を過ごせた。久しぶりに指揮する、という緊張感を味わえたし、なによりも、ヴィラ・ロボスの音楽に触れられてただただ幸せであった。
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