息子は外を歩いていて、バイクが通るたびに「モータ!おおきいモータ!」などと興奮して叫ぶ。おもちゃのミニバイクも3つも持っていて、バイクのどこのなにが好きなのかわからないが、そこらに駐車しているバイクには上に乗っかろうとして親を困らせる。
最近、ふとバイクというものはどのくらいの値段で変えるのかなと思ってインターネットでいろいろ見ていたら、なんと125ccまでのバイクは普通の自動車免許で乗れる、ということに3年前からなっているというではないか。
自分は20歳のときに自動車免許を取った。今現在、クルマは欠かせない生活の一部であることを思うと賢明な判断だったが、バイクの免許に関しては、B免許と同時に取得するのが普通だが、なぜか最初から取るつもりはなかった。ウィーンで一時期50ccの原付に乗っていたことがあったが、それもA免許は必要なかった。
道上からクルマを減らすべく、政府による環境や渋滞問題の解決案の一つであろうが、50ccと違い、125ccのバイクは半端ではない100キロ以上のスピードが出る。赤信号での停車状態から始まる、おなじみのヨーイドンではぶっちぎりでどんなクルマをも置き去りにする。カーブの走行や、ブレーキの仕方など未経験者にとってはわからないことばかりである。本来なら、何時間かの教習が必要だろう。
値段も、少々無理すれば届くところにあるではないか。雨の日の走行は危険という前に、ずぶぬれ状態になり走行後の行動に支障が出そうだ。それは差し引いて、市内では駐車や渋滞問題が解決し、それどころか150キロ離れたエヴォラまでも使えるではないか。それからずっとインターネット上での勉強が始まった。誰もが経験することであろうが、125ccに関しては知らないことはない、というところまで探求してしまった。
バイクの世界には、これまで一度も興味を持ったことがなかったが、クルマに比べて色、種類やデザインも豊富にあり、身につけるものも伴ってヘルメットやら何やらで、無限のごとく存在する。ヘルメット一つにしても、40ユーロのものから800ユーロもするのまである。防具の一つにすぎず、有効期間も5年というヘルメットに800ユーロも出費する人がいること自体、驚きである。バイクに夢中になる人の理由がわかったような気がした。
ウィーンで50ccの、ペダル付きでむしろ自転車に近いような原付バイクを乗っていたときは、乗ったときの自分の格好など全然考えていなかった。ヘルメットは一番安く、店内にあったサイズのものを買ったし、手袋は手元にあった、スキー用のを使っていた。時々道中でこちらを見て笑う人が少なからずいたが、今から思うと恥ずかしい格好をしていたものである。